かなりの冷え込みとの予報
普段なら畑には来ないけれど

今日は、午後から
畑を借りている農家さんを訪ねる約束あり

6時に起きて、日課の糀の仕込みすませて
やや遅め9時前出発
昼まで作業して
昼からバスで終点の山奥の集落に向かう予定

冬の畑作業は 草刈りがないから楽チン
水やりと収穫と麦踏みと
二時間もあれば十分のはず

 

畑につくと お隣のおじさんが
畝に腰を下ろして 作業されている。

初対面で自己紹介いただいたが、
左足は義足だそうで、
畑の土がぬかるむと 文字通り
足をとられて 抜けてしまうそう。
ときどき抜けた足を よいしょとハメなおして。
とても精力的に作物を作ってらして
一枚の畑にたっぷり多品種。
かなりの作業量だが
いつも よく似た背格好の奥さまとご一緒で
わたしと同じく大阪市内から
自家用車で朝5時に出発
高速道路を使わずに1時間20分かけて
ほとんど毎日畑にいらして
お昼ころに戻ることを日課にされている

 

私は今年まだ2回目の畑
新年となって はじめてのご挨拶。

おはようございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします
草刈機を ようやく買いましたので
今年はしっかり草刈し、雑草の種を飛ばさないよう
気をつけます ほんとに すみません。

すると
「ひとりは やっぱり でけへんなあ」

いつもは、否定的な表現をされないので、ドキリとした。
やはり、かなりのご負担をかけていたのだったか、反省しきり。

スミマセン きちんとてきないのに広く借りて。。。

「いやいや わしのことやで」
「奥さまは どうかされたのですか」
「1月7日に しんでしもうて。」

 

気づいたら、泣けて泣けて
おじさんも 畑の真ん中で泣きだされて
畦をつたって、おじさんの横にいって
二人でひとしきり泣いて

「新年はじめて畑に行こうかっちゅうて
いつものとおりに畑して
かえって早めに風呂入って寝よういうて
5時半から6時には、もうわしも
二階に上がって寝ようと思って
おかあちゃんはベッド使うから
先に上がって布団の用意しとったら
下で孫が おばあちゃん おばあちゃん
声上げてるから何事かおもたら
風呂に浸かったまま
こないなって(ひざを抱えて体育座り)
そのまま亡くなってたんや。」

なんとまあ
ご本人としては、苦しいこともなく、、、
「そうなんや。本人としたら
これほど良い死に方はないわな。
わしも同じようにきれいに死にたい。せやけど」

せやけど 残されるほうからしたら
なんの準備もできていないし おさみしいですねえ。
いつもいつも ほんとに仲良くされてらしたから
「そうや。ほんまにさみしいなあ。でも仕方がない。
こんにゃくの裏表いうやろ。」

こんにゃく?
「こんにゃくは裏も表もわからん。
生死というのはいつどこでひっくり返るかわからんもんや。」
「かんぽの宿から○○から(名前が記憶できなかった)、
日本全国ぜんぶ行ったんやで、
かんぽの宿は63、○○は32。
佐渡島だけは、自炊せんならんちゅうから
やめたんやけど、全部行ったなあ。」

「一回、おかあちゃんとけんかしてな。
いつも自動車でしか移動したことないのに、
先に帰るいうて、バスに乗って帰ったんや。
ようどないして帰ってきたんか。
あんたもバスと電車で来てるんやろう。
どないしてきてるのや。」
「家であんなに死んでしまうと、
やっぱり解剖はせんならんねや。」

そうなんですね・・・。
わたしも死にかけましたが助かって。
畑していると、ただただ幸せやと感じれます。
「そうか。そんなことあったんやな。
向こうの畑のおじさんも7年前に亡くなって。
4反くらい、ごっつい作ってはってなあ、
最初はうちも、上の畑も借りたんやけど
とてもじゃないけど、ようしきらんから返して
この畑だけでも、なかなかしきらんから
ようけ手伝ってもらったし、作物もいろいろくれてなあ。
上の畑の人も、もうようしきらんからいうて
去年末からほかの人に貸しはじめはったしなあ。
わしも、やせたら足が抜けやすうなって。」
「家におっても、横になってテレビつけて。
何にもすることないし、気持ちもつまるわ。
畑に来たら、気持ちもすっきりするしなあ。」

そうです。そうです。
畑は いらしてくださいね。
またおしゃべりしましょうね。
これからも よろしくお願いいたします。

ゆっくりいろいろお話をして。
しばらくしたら、
土に残っていたヤーコン?をすべて掘り返して
車で帰っていらっしゃいました。

おじさんの車を見送ったのち。
はっと目に飛び込んできたのは
冬枯れの畑に たった一本
フライングして花咲く 黄色い小松菜の花。

 

 

 

 

 

 

ああ。こんにゃくの裏表だ。

身近な友人が 親御さんや連れ合いさんを見送り
身近な友人が 今まさに看取りの最中であり
いつも一期一会
穏やかに いちばんあたたかいところで
大切な人を たいせつにするための
言動を続けていくことが できたらいいな

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