1月25日(土)
お世話になっている有機農家さんの朝市帰りの軽トラに便乗。
種畑で麦ふみしたのちに、お山のご実家へ。
かぞえで75歳となる農家の母さんから
「かき餅」の作り方を伝承してもらいます。

もち米を洗って水につけて
蒸してついて
大きな杉の箱に入れて四角くして
包丁にねっちょり張り付かない程度に乾かして
・・・
ということろまで すでに準備していただいており
そこから、大きな出刃で細く切る作業が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

細くしたら、さらに少し乾かして、もう少し固くなるのを待ち、
刃は入るけれども、刃に張り付かない状態をまって、
押切(おしきり)を使って薄く「かき餅」にしていく。

 

 

 

 

 

 

 

白・ごま・青のり・しそ・昆布・えび。
6種類の餅を2kgずつ。

 

 

 

 

 

 

餅が乾くのを待つし、なかなかの量なので、一泊二日の泊りがけ。
お手本を見せていただいたあとは、ひたすら一人で作業する。
昼と夜と合計6時間ほどかけて、切りました~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業の合間のお楽しみは、なんといってもつまみ食い。
端っこの丸いところや 薄くなりすぎたものを
ストーブで焼いて 食べます。
まだ柔らかいので、膨らんでおいしい!

 

 

 

 

 

 

 

お楽しみのもう一つは、作業中のおしゃべり。
昼間の作業のときは 村のご近所さんが遊びに来てくださって
ひたすら押切で作業している私の前で あれこれと昔話に花が咲く。

 

 

 

 

 

 

昔は両手でもつ大きな刃で、向こうから手前に餅をかいて
薄く削ったから、「かき餅」っていうんやし。
丸い大きいのをかいたから、分厚いし端も丸かったんやで。
分厚かったら乾かす間に、反り返るのを何回もひっくり返さなあかんし、
割れることも多いさかい、一回ひっくりかえしたらええように、
薄くすることにしてるねん。
この作業の間の餅が一番おいしいなあ。やらかいし。
エビのやつが一番好きやわ。えびは高いからなー。

 

 

 

 

 

 

昔は砂糖をいれたやつがあったやろ、あれが一番好きやった。
砂糖の入ってるのは、焼いたらふわーと膨らんで、
作業の途中の、やらかいやつは、端からくるくる巻いて食べたわ。
おやつていうたら、干し芋干し柿くらいやったから、
砂糖の入った、作業の途中のやらかいかき餅のつまみ食いが一番好きやった。

私はかろうじて、祖母の田舎で「あられ」を網に入れて炭火で炒って
食べさせてもらった記憶があると伝えると、
せやせや、このかき餅の端っこの小さいところを刻んであられにしたんやで。

ということで、端っこを刻んで、雛あられの準備もすることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

欲張って多めにあられを作る。
あられいうたら、お寺さんにお参りするとき
お供えに家で作ったあられ持って行ったわなー。
昔は何でも手仕事でしたけども、今は簡単にするようになったわー。

この日の夜は、毎月25日のお勤めがあるらしく
昔は各家にお坊様が来られて、ごはんの支度もして、人が集ったそう。
村中で順番にまわるとはいえ、負担が大きかったけれど、
今はお寺に集まってお供えもお賽銭でするようになったとのこと。

とはいえ、この村には、毎月いくつもの「講」が残っており、
昔ながらのくらしの断片がまだまだ根強い。
民俗学的に記録しておきたい気持ちが強くなる。
年末には、これも当番制で「しめ縄係」があって、
60本もの細縄を作り、村中のお地蔵さんやお墓にかける作業を観た。
細い縄を綯(な)うとき、途中で、一本、五本、三本の藁を下に垂らす。
紙垂(しで)のかわりに、そのようにするらしいとうかがい、
あまりの物珍しさに、細縄をいただいて帰ったことがきっかけで、
稲わらを生活に活かす百姓仕事に興味がわいて、縄をなうようになった。

この日、おしゃべりに来てくださった方の当番の時のことだったと、
話のつじつまもあって、昨年末に町中でたくさんの方々に
しめ縄作業をしていただいたことを写真を見てもらいながらご報告できた。
お山にウラジロを採りに行った時のブログも読んでもらえた。
とても喜んでいただいた。今日のブログのご報告もまた楽しみだ。

翌日の朝、杉の箱の上部のかき餅が乾いて反りはじめている。

 

 

 

 

 

 

 

上下をひっくり返して置きなおす。
あさって火曜日にもう一度お山に行って、
かき餅を箱から出して、一枚ずつ棚に並べて乾かす作業をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

杉の箱で数日保管するのは、いきなり棚に広げると、
外と内側の水分量が変わりすぎて、割れる原因になるからだろうとのこと。
ちなみに、かき餅の作業は大寒と小寒との間にする習わしだそうだ。
餅のまわりについてる粉が少ないほうがカビがきにくい。
棚には藁のむしろを引くのが最適で、水分をちょうどいい具合に吸ってくれる。
杉の箱の上には紙をかぶせて、部屋は閉め切っておく。
棚に広げたら、ふすまをあける。

数々の道具と行程を教えていただいて、
杉の箱も藁のむしろも一つずつやるさかい、長屋で干すか?
と聞いていただいたけれども、
街は空気がきれいじゃないから躊躇する。
やっぱりお山で作業しますとお伝えした。

工夫はするが、ムリは通さない。
季節の手仕事の真髄が味わえた二日間だった。
明後日も楽しみだー!

 

 

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